1人が本棚に入れています
本棚に追加
愛情 #2
『まあ、擁耀としては悠希が御破矢(ミハヤ)の血を引いていて良かったと思うぞ』
悠希の髪を弄び、擁耀は柔らかい笑みを浮かべた。
長い爪に髪が絡まる。
『そうでなければ、擁耀は悠希には出会えなかったであろうから。出会えていても、こんなに愛せないだろう』
傍に居れるから、必要とされるから情が溢れだす。傍に居ないのなら、聖獣と人間の関係では、それは無理であろう。
「嫌よ。擁耀が私と世都以外の人間を抱き締めるのは。耐えられないわ」
悠希は長い擁耀の髪を不機嫌に引いた。そんな悠希に、擁耀は聲を立てて笑った。
『世都は良いのか?』
擁耀は愉しそうに問い掛ける。まるで言葉遊びの様に。
「そうよ。世都なら、許すわ……」
何かを探られているような気分になった悠希は、少々憮然とした。
『悠希に出会う前は、擁耀も他の使役遣いに仕えていたぞ』
最初のコメントを投稿しよう!