第1話*氷点下の男

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「伊東優(いとうゆう)って絶対に人殺してるよね」 「んんっ?」 昼休み。 自慢の俊足で人気No.1の焼きソバパンをゲットした私・木下美希(きのしたみき)は、食べることに夢中で親友・杉森久恵(すぎもりひさえ)の言葉を聞き逃していた。 「だから!伊東優だよー!」 お弁当持参の久恵は女の子らしい小さな巾着袋を探り、ふりかけを取り出しながら言う。 「“氷点下の男”?」 会話が聞こえたのか。 私の後ろでお弁当を食べていた別グループの女の子達が、一斉に振り返り声をかけてくる。
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