オレンジ

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いつの間にか前の席のイスに後ろ向きで座っていたヒナが、キャンディーをくれた。 泣いてる理由を聞いてこないヒナの思いやりが、心にしみる。 「ありがとう。」 いーえ、と言いながらヒナはピンクのキャンディーをポイッと口に入れた。 私もガサガサと包みをあけ、 オレンジ色のキャンディーを取り出して、ヒナのようにポイッと口に入れてみた。 甘くて、でも、すっぱくて。 「あのね。」 私はさっきの出来事を話し始めていた。 窓越しの空も、教室も、 オレンジに染まっていた。 『オレンジ』END _
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