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「だもんじゃねぇ!」
これじゃあ先程とは立場が逆だ。
俺は大きな足音を鳴らして教室から出た。
「しょうがないよ、紗生が可愛かったんだから。」
しょうがなくない、可愛くもない!
「でもさ、なんで俺のこと避けてたの?」
「それは――…」
言えない。
ムリだろ。
何も答えられずに、廊下を歩いていく。
結構な速さで歩いているのに、苦も無くついてくる柳にまたイラつく。
「なんでもねぇよ!」
「なんでもなくないから避けたんでしょ?」
間髪入れづに返される。
そりゃそうだ。
「早く言わないと…、ココで襲うよ?」
耳元で、吐息交じりにささやかれる。
「なっ――!」
続きをいう間もなく、肩に担がれる。
「ここ学校だ、バカっ!」
そういう俺の言葉を聞く様子もなく、鼻歌交じりに歩いていく。
周りの生徒の視線が、刺さる。
「言えば、いいのかよ!?」
恥ずかしくていたたまれない……
「え、言うの?」
柳の足が止まる。でも、と続けた。
「でもってなんだよ?」
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