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とある夏の暑い日、店のドアにつけてある呼び鈴が耳に心地よい音を奏でた。
来客を知らせる合図だ。
「いらっしゃいませ。」
特徴のある足音から中に入ってきた人物を想像して、俺は表情を歪ませた。
「何しに来たんだ、遼。」
ピタリ、と足音が止まった。
店の奥の、作業場である小さな部屋の前で、相手が息をひそめるのを感じ取った。
「なんで…わかったの?悠斗。」
なんで、か。
強いて言うなら―――
「お前が嫌いだから。」
ドアノブに手をかけていたであろう手を引く、微かな衣擦れ音がした。
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