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そして、本日三月三十一日。
世界が激変した日。
世界観が――変容した日。
いつものような平々凡々たる日常を送っていた少年。煮え切らない中立格である《外界遣い(マエストロ)》と付けられた須賀八雲(すがやくも)という一人の少年。
ある意味では、彼こそが最も世界観を激変させた者であり、そしてまた、彼こそが、一番始めに悲劇と現実を目に焼き付けた者だという事は、当然、未だ誰も気付いていない。
「あー……っぁああ。やっぱさあ、アレだよなあ……。お前を見ていると俺が如何に中途半端だって事が突きつけられて、唐突に死にたくなるなよあ……。責任とりやがれよー」
少年は自分の隣の胡座をかく男へと、自分の隣の腐れ縁の同級生へと、気怠げに呟いた。
ごろりとやる気なさげに寝転がり、背中に当たるコンクリートの悪趣味な痛みを味わいながら。
「あぁ? いきなりなーにを言っとる、おのれは。幾ら自分がマエストロ止まりだからって、ワシにあたるなや」
「あたりたくもなるさなるよなりますよ。だっていつまで経っても俺はマエストロなんだぜ? 瑞橋(みずはし)ちゃんは勉強すればなんとかなるって言ってるけど……俺には希望が見えねえよ!」
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