第1話【真夏の太陽】

真夏の太陽

２０代最後の夏。

連日、太陽がその力を見せつけんばかりに私の日常を眩しく照らしていた。

アスファルトが溶けそうなくらいの猛暑から遮断され、私はエアコンの効いた快適な空間で手元のペンタブレットを軽快に操作していた。

地元の東京で美大を卒業した後、希望通りの職に就いた。

【デザイン・レイ】

WEBサイトの制作、運営。今ではスマートフォン時代に合わせたアプリの開発も行っている。

５０名ほどの社員規模で大会社とは言えないけれど、そのクライアントの顔ぶれは錚々(ｿｳｿｳ)たるものだった。

テレビやCMで知られる有名企業ばかり。アパレルや車業界、食品に化粧品。クライアント企業の業種は多岐にわたる。

直接クライアントから依頼を受けて、企画に結び付ける責任者でもあるプロデューサー。それを具体的に提案、計画、進行していくディレクター。

そして、それをデザインするのがデザイナー。

クライアントのイメージをカタチにするのが私の仕事だった。