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やわらかい唇が、ひょっとこの様に突き出した間抜けな唇をあえてかわす。
頬、あご、首筋をかすめて鎖骨へ、ふわっふわっとやさしく唇でつまむようにしたキスが降りていき、そのたびに脳が痺れ、胸が高鳴る。
ドキドキしすぎて、どーにかなってしまいそうなこの心臓をそのままリオちゃんの中へとそのまま入れてみたくなって、そっと手を伸ばした。
バスローブの胸元へと滑りこませようと伸ばした手は寸でのところで軌道修正させ、リオちゃんの重心のかかってない方の細い手首を握った。
「ドキドキしてる」と、リオちゃんに自分の胸をさわらせた。
もう、そんなのどうでもいいじゃないとか思う。
だけど何していいのか訳がわからなくなって、なんだか、やっぱり、ほっぺたはピカピカしてるし。ぎゅぅーーとしたいのを無理矢理こらえる。ここでガツガツしたら、この不思議な雰囲気は台無しだ。この緊張感はこの人が作ってくれている。それを簡単に壊してたまるかと、距離を保ったまま手首から肘へと触れると、リオちゃんは「ちょっと 待っててね」と少しだけ笑って電気を消すためのリモコンを取りにテーブルへと手を伸ばした。
その僅かな時間であった。
リオちゃんが後ろを向いたその、ほんの一瞬である。
【ちょっとすいませんー175センチの美女は、男ですよ】というそれを言っちゃ身も蓋もないだろうよという発言を俺の中の通りすがりの“名無しさん”は面白がって二回もオレ公式掲示板に書き込んできたのだ。僅かな時間に“2回も”である。
これを一瞬で削除した。削除。
背中の骨格を見てみろよ。ほら、という発言も削除。管理人権限でサックリ削除。
部屋は薄明かりだけになったあとも、通りすがりの名無しさんはちょいちょいと現れた。
超 展 開 !
キタ━━━(゜∀゜)━━━ !!!
そのたびに削除した。
その圧倒的な美しい外観と、キスのうまさに“名無しさん”達もだんだんと声を失い、管理人も完全に夢中になってしまっていた。ニコ動でいうところのコメントは伸びないのに再生数とマイリスだけがぐいぐい増えていってる感じ。
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