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「おはよう珍しく早いな。咲ちゃんと喧嘩でもして家を追い出されたとか?」
まだ朝早いというのにテンション高めに笑いながら俺の背中をバンと叩いてきた。
また、この男は……
なんで、こう毎度毎度タイミングが良いというか、悪いというか……
「そんなんじゃねーよ。会議資料忘れたから早く来ただけ。そういうお前はどうなんだよ」
佐藤の登場に、咲穂に電話をすることを諦め静かに携帯を閉じる。
ここで咲穂に電話なんかしようものなら、入らぬ詮索をされそうで面倒だ。
「出来てないから、こんな時間に出社してるんだろ?」
まるで悪びれた様子もなく、いけしゃあしゃあと言いのけると、ドカッと椅子に座りパソコンを立ち上げだした。
コイツが朝早く来ると分かってたら意地でも資料を忘れなかったのに……
なんて意味の分からないことを思いつつ、残りの仕事を片づけにかかった。
こうした小さな小さなすれ違いが後々、大きなすれ違いになるとも知らずに……
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