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――…
―…
微かな物音に私の意識は呼び起こされた。
―――ユキ?
眠い目を擦り、身体をゆっくりと起こす。
でも部屋にはユキの姿はなく、気のせいだったのかと思い、またベッドに身を沈めかけたが、寝室のドアからほんの少しの明かりが漏れていることに気づく。
確かにリビングの電気は点けっぱなしにしておいたけど、寝室のドアはきちんと占めたはず。
ということは……
ゆっくりとベッドから出ると、ベッドの足元にユキの上着が置かれていた。
ソッと手を伸ばし触れてみると、まだ脱いだばかりなのか仄かに温かさを感じ、今しがた帰ってきたばかりなのだと分かる。。
上着がシワにならないように、いつものハンガーに掛けるとドアの隙間からユキの様子を覗ってみる。
でもユキの姿をとらえることができず、聞こえてくるのは微かな物音だけ。
もう少しだけドアを開け、その姿を探してみると、キッチンの方で動く影を捉えた。
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