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それに気づかないふりをして私はユキの横をすり抜け、キッチンへと向かう。
そしてシチューの入った鍋に火を点け、冷蔵庫からラップしておいたサラダを出す。
「座って、すぐ用意できるから……。ビールでいい?」
軽くユキが座る椅子を引き、座るように促すと缶ビールを置いた。
ユキはやや戸惑い気味に「ああ」と言葉短く返事すると、椅子に座りビールを開け飲みだした。
背中にユキの視線をひしひしと感じながら私はシチューを温め続ける。
妙なプレッシャーなような威圧感を覚えたが逃げるわけにはいかない。
「お待たせ。熱いから気をつけてね」
温め直したシチューをユキの前に置き、自分も座る。
「頂きます」
手に持っていた缶ビールを置くと、ユキは迷わずシチューに手を伸ばした。
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