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よほどお腹が空いていたのか、黙々とシチューを口に運ぶユキの姿を私は頬杖をつきながら眺めていた。
そして思う。
―――幸せだな、って……
「どうした?」
ユキの声にふと視線を上げると、目が合う。
心配そうに私を見返すユキに
「ううん、何でもない。ただ、シチュー美味しいかなって……」
「ああ、美味いよ。外、寒かったし身体も温まる」
満足げに笑うユキに込み上げてくるものを感じ、目頭がじんわりと熱くなる。
そして次第に視界がぼやけ、ユキが見えなくなってゆく。
「咲穂、どうした!?具合でも悪いのか?」
おどろいたユキ顔のユキが立ち上がり、私の肩に手を置いた瞬間、目から涙が零れ落ち自分が泣いていることに気づかされた。
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