ローグリエントの翡翠

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「波動とは、か。…この地には魔力を使った事柄は薄いから、理解はしにくいかもしれないが」 魔力。シャスタは記憶を漁った。確か、異地で栄えている、普段は目に見えぬ摩可不思議な力だと、旅人から伝え聞いた気がする。 シャスタの考えを繋ぎ、補足するように、イライザは話し始めた。 「魔力とは、この世に満ちる、魔たる形なきもの、そして、世界に移ろい満ちるもの」 歌うように、澄んだ声音は異国の事柄を口ずさむ。 「魔法や、精霊、神様と呼ばれるものは、全て魔力による存在だ。ヒトに於いては、その魂に宿るとされる。…波動とは、その目に見えぬ魔力が、空気を揺らす波となってモノに傷を付ける力だ」 「つまり」 シャスタが息を呑む。 「ああ。…魔法に近いものだ。ここは魔力の薄い地だから、"あれ"を繰り返されると危ない」
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