第三章

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悠side 理子がどこか元気なさそうに感じたのは、どうやら俺の気のせいではなかったようだ。 ちゃんと言葉にして、そう言った俺の言葉に、理子はようやく口を開いた。 「あのね、今日文化祭の実行委員一緒にやらないかって誘われたの」 文化祭…… 「あ~、もうそんな時期か…」 「うん……」 「でも、理子が文化祭の実行委員? お前そういうのやるタイプなの?」 なんかいまいちピンとこないな……。 上半身を起こしながら尋ねた俺はベッドの上で胡坐をかいた。 理子はフルフルと小さく首を振る。 「だよな……、でどうしたの?」 「それは断った」 「そうなんだ…」 断ったというのに、理子は浮かない顔をしている……。なんでだ? 「けどね、どうしても手伝って欲しいってお願いされちゃって……、実行委員ではないけれど、サポーターみたいな感じで仕事を手伝うことになったの」 「サポーター?」 聞いたことがないと眉を顰める。 「うん……」 「そんなのあるの?」 「うん、そうみたい……」 「……みたいって」どういうこと? 「理子ね、ちょっと他の事考えてて……あんまり話を聞いてなかったんだよね……だから正直よくわかんない」 「……」呆れてしまい、つい漏れたのは失笑だった。 「なんか、嫌な予感がするんだけどさ~、それって男?」 「そう、猪森(いのもり)君! 悠ちゃん知ってるの?」 驚く理子に、 「知らねぇよっ」そういうしかなかった。
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