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四月。入学式に向かう道には桜が咲き、新入生と思われる奴らはみな笑顔で校門をくぐっていた。
「あんた、顔暗すぎ」
いきなり俺に声をかけてきたのは親友の祐奈。俺とは違って可愛い女の子だ。
「しょうがねーだろ。…あのクソ兄貴のせいで、こんな格好しなきゃなんねーんだから」
そう。俺がいま着てるのは、女子の制服。スカートにリボンという俺にはガチで似合わない組み合わせだ。
「意外と似合ってるけどねぇ。今度の休みはウィッグもかぶってメイクしてみる?」
ニヤニヤ笑ってからかう祐奈。
「ぜってーヤダ!!どーせフリフリのスカートとか着せるつもりだろ」
「ばれた?つまんないの、あんた意外と可愛いのに」
祐奈がそう言って口を尖らす。そういう顔が様になるからすごいよな。
「ふざけんな、似合うわけねーだろ。俺は男装してるのが一番落ち着かないからこれでいーの」
ふーん、って言って祐奈はスマホをいじりだした。
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