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「コホン。改めて久々だなマヤ。マヤ教官」
「久しぶりです、レドナ教官。・・・それでその手は何ですか?」
レドナはマヤに向け両手を広げにっこりしている。
「ほら、抱き着いてきて良いんだぜ?」
「・・・レドナ教官、臭いです」
「ぐはっ!?」
吐血した振りをしてがっくり項垂れるレドナ。
「冗談です、ここまで臭いは届きませんよ」
「ああ良かった。ルカをぶっ飛ばしてから体を洗いに今度こそ戻るところだった」
「やめてよ」
何で意味もなくぶっ飛ばされないといけないのさ。
「顔色が悪いようですが、それ以外はいつも通りですね、レドナ教官は」
「は?」
レドナが一瞬だけこっちを見る。僕は慌てて首を横に振った。どこも顔色は悪くない。見た目だけなら健康的な顔色だ。
「ま、まぁ、それよりだ。何も言わず勝手に姿を消して悪かったな。多分、迷惑をかけたよな?」
「ええ、それなりにわ・・・。でもレドナ教官にも、何か事情はあったんですよね?」
「個人的な・・・、色々な。すまなかった」
レドナは真面目な表情をして頭を深く下げ、マヤはちょっと落ち着かない様子でレドナのつむじを見ている。
「その、レドナ教官はどうしてクヴァール監獄に居たんですか?」
「答えずらいね。いやぁ、気になるのも当然だと思うけど」
レドナは少しだけ間を開けてから、ふざけたようにニッと笑う。
「あれですよあれ。内なる自分とめっちゃ戦っていました!ええ、それはもう激しくね!」
「そうですか・・・」
マヤがはぁっと小さく溜息を吐く。
嘘はついてないが、言い方というものがある。その言い方じゃ信じないだろう。誤魔化されたと思うはずだ。
それがレドナの狙いでありワザと変な口調で言ったのは分かるが、それなら最初から答えなきゃいいのに。
「ならさっさと倒してください」
「えっ?」
レドナはぽかんとした顔になり、まじまじとマヤの顔を見る。
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