18650人が本棚に入れています
本棚に追加
/568ページ
「死刑だ」
朝一番。
薄暗い牢獄の中で、いつもお世話になっている監守さんから真顔でそんな事を言われた。
「おっちゃんどうした?急に死刑だなんて物騒だな」
「・・・牢獄にいる時点で既にあれだが、まぁこれを見ろ」
そう言って監守のおっちゃんは、この牢獄の中では場違いに綺麗な一枚の紙を、檻の間から手渡ししてくれる。
「え~、何々。・・・・レドナ=ブローライ。あなたの罪を再審した結果。無期懲役の罪から見事、死刑囚にランクアップしました。おめでとうございます。・・・・・・つきまして死刑の執行日時は本日の7時を予定しております。では最後の朝日を浴び、優雅な朝食をお楽しみください・・・・・」
ふーん、ほぉ、へぇ、なるほどな~。
「で、なにこれ?」
もうこの一言に尽きる。
この文を書いた奴は馬鹿なんじゃないだろうか。
「お前の死刑勧告だが?」
「そう言う意味じゃないから。何この急な知らせ? なんで俺の知らないと所で勝手に再審されて死刑になっちゃってるの? それにランクアップおめでとう、とか絶対ふざけてるだろこれ。あと死刑時間が今日でしかも7時って、残り10分しかないからね。 そして最後の朝日を浴びるって、ここ地下牢の中だから。朝日なんて入ってこねーよ。優雅な朝食をお楽しみください・・・? 優雅な程まともな食事なんて出た事ねぇだろーが。馬鹿なの?死ぬの? 」
ふぅ、久々に一気に喋ったから疲れ…
「死ぬのはお前みたいだけどな」
「おぅ・・・・・」
何かそういう事になってるので、俺は呻き声しか上げれない。
おっちゃんが牢獄の鍵を開け、俺に手錠を嵌めてくる。
「最後に長官がお前をお呼びだ。行くぞ」
「あの、まだ今朝の朝食すら頂いていないんですが・・・・」
俺の言葉をスルーし、おっちゃんは俺の背中をグイグイ押してくる。
どうやら優雅な朝食を頂くことは出来ないらしいね。
・・・なにこの急な展開超怖い。
最初のコメントを投稿しよう!