第1章

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「おはよう」 そう言われて伏せていた机から体を起こし顔をあげた。 目が合ったのは、長峰。 「よっす」 長峰は昨日俺をフッた男だ。 ちなみに、同じクラスで、席は隣。 (よく昨日おれが告ったのにこうも普通でいられるよな) あまりにもいつも通りで、なんというか、言いようのない、怒りとはまた違って、…そう、寂しい。気がする。 (結構、勇気だしたんだけど) この関係は壊したくはない。けどこのまま友達のままいたくなくて、どうしようもなくて、昨日、この教室で、告白をした。一番窓際の後ろで右が長峰、左がおれ。 いつもとなんらかわりのない配置で、でもいつもと違うのは周りに人がいないこと。だって放課後だった。 なあ、長峰。お前はおれの言葉聞いてどう思ったの。 好きだって言って、友達とかじゃねえ、って多分顔だって真っ赤になってたと思う。なのにお前は、うん。しか言わなかった。 それだけ行ってお前すぐ席立って帰っていきやがって。 ちら、と横を見るけどなんら表情は変わり、え。 (あれ) とりあえず窓の外をみる。突き抜けるような5月の青空が広がっている。 (長峰、顔、真っ赤) ちょっとして、ズボンのポケットの中のスマホが揺れる。メールの受信。差出人は長峰 優人。 右横をみると机に伏した頭の方から真っ赤に染まった耳だけがのぞく。 それをみて、思わずつられて、顔が熱をもった。 『今日の放課後、残って。』
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