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―高校1年 4月下旬―
私、笹原里乃(ササハラ リノ)は保健室の先生、葉山緑先生(ハヤマ ミドリ)に呼び出され、今 保健室に居るわけなのだが…。
「…なんで私が送らなきゃいけないんですか?」
「和田くんのお姉ちゃん風邪で休んでるし、先生これから会議だし……それに和田くんの家から笹原さん家近いみたいだし…!」
お願いっ!
と眼鏡美人の緑先生が顔の目の前で手を合わせて言う。
今の私の目の前には緑先生と、その隣にはマスクを付けて椅子に座って苦しそうに肩で息をしている、私の隣の席の和田りんが居る。
「ちょっ…せんせ…!!何で笹原よんできてんだよっ」
「え?和田くんが笹原さんがいいって言ったんじゃない」
「ちげーよっ!笹原だけはやめてくれって言ったんだっ…ゴッホゴッホ…ッ」
なんかごちゃごちゃ言ってるがよく聞こえない。
…まぁ、仕方ない、かな。
本当はあんまり、人と関わりたくないんだけど…
私は、和田の目の前まで歩いて行き
「ほら、帰るよ」と手を差し出した。
早くしてくれ。
帰ってしなくちゃならんことが山ほどあるんだ。
「えっ…あ、ああ…」
和田は差し出された私の手を震える手で握った。
震えるくらいしんどいのか…。
手もかなり熱いし熱はあるんだろう…。
まあ、うつらないようにしよう。
どうやら、今の私に他人のことを心配する心などないみたいだ。
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