風邪

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リビングに入ると 知らない茶髪の女が台所に立ってなにかを作っていた。 ほわ?!幽霊?! …って、まさかね。 …いや、でも、誰…? ―ガタンッ 「…っいったぁー!!」 ふらふらとその女のいる台所へ向かっている時、あたしはテーブルの足に小指をぶつけた。 痛い痛い!!足の小指痛い! その音であたしに気付いた女は 「あ、どうも」 と言って軽くお辞儀をすると またなにかを作り始めた。 「いやいやいや、どうもじゃないよ!?あんた誰だよ!人ん家の台所でなにしてんだよ!!」 「私は和田と同じクラスの者です。和田にお粥を作ってと頼まれたので台所をお借りしてお粥を作ってます。」 女はお粥を作りながら答えた。 わけわかんない。 「和田ってりんのこと?」 「ああ、うん」 「りんの友達?」 「いや、今日初めて話した」 「どういうこと?」 「保健室の先生に、和田のお姉ちゃんも風邪で迎えにこれないし、先生は会議で送るのは無理だから和田の家に近い私が送ってって言われたので一緒に帰った。」 なるほどねぇ。 「…それでりんに気に入られてお粥作ってって頼まれたんだ?」 あたしは椅子に座って台所に居る女を見つめる。 背中向けてるから表情わかんない。 「気に入られたかは知らない。」 「ふーん、そう。ねえ、あたしのぶんのお粥ある?」 「…ある。」 「あなた好き」 「…は?」 「嘘」 うわお、めっちゃ怖い顔された。 ツンツンしてる娘だなぁ。 「…出来たよ」 コトンとテーブルにお粥の入ったお椀を置いてくれた。 「ありがとーっ」 そう言って斜め上を見上げて女の顔を見る。 なかなか、綺麗な顔をした人だ。 「和田は…」 「あー…二階の奥から二番目の部屋に居るから…行ってらっしゃい…へへ」 行ってらっしゃいってなんだ。 まあでも、あたしはりんの部屋行けないしこの子に様子見てきてもらうしかない。 「わかった…様子見てくる。」 おお、通じた。 女はだるそうにリビングを出ていった。 「…あ、このお粥おいしー…」
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