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「七海は俺が送っていくから。先に家に帰って」
…やっとはっきりとしてきた。 この声は、和也さん…だ。
あ…れ、
あたしの手が、浮いて―――…握られた。
人の体温て、温かい。
ん…?
変なの。どうしてかな、
握られたあたしの手、微妙に揺れてる……?
瞼を押し上げ、顔を横へずらすと、そこには和也さんがいて。
あたしの手を握りしめながら、
それを自分のおでこにあて啜り泣いていて…
「…ぅっ …っく…… っ……」
いたたまれないような、何とも複雑な気持ちになり、
顔を反対側へ向けた。
腕とチューブがテープでとめられ、繋がっている。
目線を上へ上げると液がポタポタと垂れる様が目に入った。
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