仮想世界

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「何だったんだろう…」 22時15分、准矢は自室のベットで夕方起こった出来事を思い返していた。誰もいない学校の廊下で、突如どこからか窓ガラスを割って現れた不知火と言う名の少女。その少女が言った意味深な発言。 「この世界は現実ではない。仮想だ」 准矢はポツリと呟く。あんなの不知火とかいう女の妄想だ。そう頭で理解しようにも何故か心ではその意味が気になってしまう。詳しく聞いておけばよかった。 あの後、結局准矢はそうなんですか。凄いですね。と、全く驚く様子もなく話を流していた。 「何その反応…もっと驚愕したりしないわけ?」 駄目だこいつ。などと思われているのか、はぁと溜め息をつき凛香は准矢に少し微笑みながら言った。 「信じられないのも無理はないけれど君がもし他の人とは違うAI、一種のバグであるなら私にとって必要になるかもしれない」 バグ?バグって何?コンピュータとかの不具合とかそういう意味?AIというのもわからない。この人が言う事は俺の理解の範疇を超えている。 「あの、言っている意味が全くわからないんですが…」 そもそも不知火さんは何者なのか。今思うと俺は何もわかっていることがない。それ以前に俺はあの場に立ち会わせてもよかったのか? 答えの出るはずのない疑問を抱えている准矢を尻目に、凛香は二階へ上がりながら最後に言った。 「もし、リセットされなかったら明日会いましょう」 リセット…?考える間もなく、凛香は廊下へと消えてしまった。
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