プロローグ

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鼓膜を破りそうな程大きな音を鳴らし続ける物体を止めゆっくりと身体を起こし、それと同時に先程止めた目覚まし時計を見る。 7時00分 朝の気だるさを取り除くため日光に浴びようとカーテンを開ける。雨だ。 雨というだけで気分は下がり、気だるさを残したままリビングに向かい朝食を食べる。朝食と言っても食パンにバターを塗るだけだ。 朝食を食べ終わり歯磨きを済ませ制服に着替える。机に掛けてある鞄を持ち、誰もいない家に一言「いってきます」と言い傘をさしてアパートを出る。 藤山 准矢(トウヤマ ジュンヤ)は一人暮らしだ。顔も思い出せないが実家に親もいる。何故一人暮らしをしているのかはわからない。いや、思い出せないというのが正しいだろう。しかし准矢はそんなことを気にしてはいなかった。バイトをして生活費を稼いで生きるのは少し厳しいが、今の暮らしで充分満足だった。 准矢の高校はアパートからそう遠くはない。いつもは自転車で通っているが歩いて登校しても余裕はある。同じ高校の人や会社へ向かうサラリーマンを見ながら、いつも通りのルートで学校に到着し教室に入る。 「准矢おはよ!」 1番に声をかけてくれたのは、クラスメイトの中田 太地(ナカタ タイチ)。明るく皆から人気がある。クラスのリーダー的立ち位置だろう。准矢も挨拶を返すと他のクラスメイトも准矢に挨拶をする。 准矢は学校が好きだ。クラスメイト皆が仲良く絆がある。だから毎日充実している。
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