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「今日授業昼までだしさ、ボウリングでも行かね?」
太地がそう言うと教室にいたほとんどの人が「いいね」「行きたい」「行こ行こ」など盛り上がりを見せる。勿論、准矢もその中に混じっている。
「じゃあ来れる人は学校終わったら教室に残って打ち合わせな」
ボウリング行くのに打ち合わせとは大袈裟だな。などと思いながらも頷き自分の席に向かう。窓側の前から2番目、ここが准矢の席だ。そう、准矢の席、のはずだが誰かが座っている。
「何してるの?」
呆れ半分で椅子に座っている女の子に尋ねるとその子はしまった、見つかった。という様な顔を見せ、じゃあねと手を振り退散しようとする。
「いやいや待って」
焦って立ち去ろうとする女の子の制服の襟元を引っ張るとうぐっと言い動きを止めた。
「痛い!何すんの!」
何だ?逆ギレか?完全に呆れた准矢は再度何をしているのかを問いただした。するとその子は観念したのか、頬を膨らませた後に少し早口で理由を言った。
「昨日、数学のノート書き忘れたから借りてただけ!それを返すために机の中に入れようとしてた」
いつの間に。全く気付かなかった。それもそうか。家で勉強なんて一切しないんだから。だが、それとこれとは話が別だ。勝手に取られてたのに謝罪もなしに許す筈がない。
「で、何か言う事は?」
これでごめんなさいの一つも出たらいいのだがこの女、矢島 結依(ヤジマ ユイ)はそうはいかない。
「汚いノートありがとうございました」
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