プロローグ

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授業が終わり放課後になるとほとんどのクラスメイトが教室に残った。と言っても時間と集合場所を決めるだけなので直ぐに済んだ。 「じゃあ二時半にそこの駅前集合な」 太地がそう締めくくり皆それぞれ帰宅していく。俺も帰るか。准矢も鞄を持ち藤太を探す。さっきまでいたのにいないな。まだその場にいたクラスメイトに藤太知らない?と尋ねる。 「化学のわからないとこ聞きに行くって言ってたよ」 あ、そういやそう言ってたな。どうせ帰ってもボウリングまで暇だし、図書室で待ってるか。クラスメイトに藤太が戻った時のために、図書室に行くことを伝えて教室を出る。 図書室は准矢の教室から近いのであっという間に着き、適当な本を取ってパラパラとページを捲る。だがしばらく経つと、図書室独特の雰囲気と静けさに囲まれたせいで徐々に迫ってくる眠気に負けてしまった。 目覚めた時もう外は雨も止み夕焼け色に染まっていた。今何時だ。咄嗟に図書室にかけてある時計を見る。短い針は4のところを指し長い針は6と7の間を指していた。 ボウリング始まってるし。まず何で藤太は来なかったの…。急いで図書室のドアを開け、藤太に電話する。二コール程で繋がり、少しイラつきながら携帯の向こうに話しかける。 「何で先に帰ったの?」 「え?教室帰ったら誰もいなかったし、准矢こそ先に帰宅したのかと思って」 すれ違いか。大人しく教室で待機しとけばよかった。自分が図書室に居たことを伝え電話を切り下箱へ歩く。 誰もいない静けさが漂う廊下を見渡しながらこんな学校も良いなと感じる。恐らくほとんどの生徒はいないだろう。ボウリングはもう間に合わないだろうし今日は帰って寝るか。何気無く思ったその一言が准矢の日常の最後だった。
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