プロローグ

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突然、廊下を歩いていた准矢の隣にあるガラスが割れる。それと同時に人のような感触の物体がのしかかり、うわっと情けない悲鳴を上げ倒れ込む。 何だ?何が起こった?何故急にガラスが。混乱する頭を必死に抑えつけ上に乗っている物を見る。 「…女の子?」 そう。それは物ではなく人であった。更に疑問が次々と上がる。どこから来たの?ここ三階だよね?空から?有り得ない。いやいやでも。准矢が思考している中、その少女は目が覚めたのかパチパチと辺りを見渡すと今の状態に気付き、慌てて立ち上がり何だこの変態とでも言いたげな目を向ける。 「君、何?どうしてここにいるの?」 何を言ってるんだろうこの人は…。それはこちらの台詞だ。俺は勿論ここの生徒だ。しかしこの子はどうみてもここの生徒ではない。部外者だ。年齢は准矢と同じくらいだろうか、けれど顔は幼く見える。10月という少し寒い季節なのに、上にセーター下にスカートを履いている。ここまで三秒も経たぬうちに考えた准矢だが、冷たい目に耐えきれず素直に問いに答える。 「図書室で寝ていて…」 「ふむ。イレギュラー…?何故。この時間には誰もいないように設定したのに。いやこの子自体が一種のバグなのか…」 急に独り言を言い出したおかしな子を見ながら、准矢は次にするべき行動を即座に選択した。この状況は不味い。先生が来たら面倒くさいことになる。逃げよう。頭の中でそう考えすぐに行動を起こそうと、未だにぶつぶつと言っている突然の飛来者の手を掴み下駄箱まで急ぐ。 「ちょっ!?何?離して!」 何やら叫んでいるが全て無視し階段を降りる。二階を過ぎ二階と一階の間にあたる階段まで降りた時、そこで油断したのか手を払われてしまう。
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