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「そこからだっけ。 私達が黒井プロでアイドルになって、色んなステージで歌ったり、踊ったりして、レッスンも大変だったけどそれなりに楽しかったしね。」
「あぁ、そうだったな。 色んな所行ったもんな。」
ふっ、と笑う俺達の体を、春の夜風が優しく吹き抜ける。
少し肌寒い。
それは、輝夜も一緒なのだろうか、身震いを一つ。
体を少し縮こませ、とん、と俺の肩に身を預けてくる。
「ちょっと、寒いな。」
「…うん。」
苦にならない心地よい重みと、そこから伝わるほんのりと暖かい体温。
「それ…に、」
「うん?」
「私、ちょっと…眠くなっ…てきたか…も…。」
その言葉の後に、輝夜の方に目を配ると、すぅすぅと心地良さそうに小さな寝息を立てながら眠りに落ちていた。
「ふぅ、寝るのも早いんだな、こいつは。 でも、仕方ないか。 あんな事があった後だしな。」
そんな事を思った自分も、心なしか瞼が重くなってきた。
まぁ、少し位なら良いか。
ゆっくりと目を閉じる。
意識が遠退いていく。
「おや? あの子達は…。」
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