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冴子
「店の名前が気になってね。」
「あぁ、一般の人は知らないわね。」
「じゃ、僕は特別な人ってわけ。」
「そうね。話が合うかもしれないわ。」
体の深い部分の器官が蠢動していく。
「カッチーニは、アヴェマリアくらいしか知らないけどね。」
「あの曲が好きなの。」
「いつ知ったの。」
「男を?」
冗談とも本気ともつかぬ調子でたずねてくる。
誘っているのか?
「いや、カッチーニの曲をさ。」
でも、相手もこちらを嫌っていないのは顔を見ればわかる。
「高校生のときに大好きな人に失恋した時よ。
死のうと思ったわ。あんまり苦しいから。
死に場所を探して、雑踏の中をさ迷っていた時、この曲が聴こえてきたの。
心をえぐられたわ。」
「うん、いい曲だものね。」
「それから毎日、この曲を聴いて泣いてたわ。
でも、悲しかったけど、もう死のうとは思わなかったわ。
これで慰められたの。」
「死なないでよかったね。
もし、死んでたら今日会うことはできなかった。」
「いろんな人に何度も同じことを言われたわ。」
そうだろう。
男好きのする女だもの。
「あら、もうこんな時間。上に上がる?」
これはもう断れない。
「うん。」
彼女の名前は冴子といった。
冴子は店の灯火を消すと、鍵を閉めてそのまま二階に上っていった。
源さんはそのあとからついていった。
二階の部屋はよく掃除されていてきれいだった。
奥にダブルベッドがひとつあった。
いつもこんなことをしているのか?
終わったら、怖い兄さんが出てきて金を要求するんじゃないか。
ほんの数秒間のうちに色々なことが頭の中を駆け巡った。
「自由に寝返りが打てるから、ダブルベッドが好きなの。
わたしのこと、尻軽女だと思わないでね。」
冴子はちょっと悲しそうな顔をした。
二人でさっと体を洗うと、そのままもつれあうようにベッドに倒れ込んだ。
甘く密やかな部分に手を伸ばすと、すでにもう充分に濡れていた。
源さんの男は、早晩我慢できないところまで膨れ上がっていた。
女体を楽しませるプレイボーイのようなテクニックは持ち合わせていない。
濡れているひだを確認すると、マックスに膨れ上がった自分のものを谷間深く一気に挿入した。
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