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『夏と言えば!?』
リビングでダラダラしていた午後、俺はその声に顔を上げた。なんだよ暑苦しい。
汗ばむ背中が酷く不快だったが、動く気もさらさらなかった。
「なんだその格好は」
声のする方を見るためにソファーの背に顎をのせると女児スクール水着を着て、浮き輪とシュノーケルをつけた黒い犬がフローリングの上に立っていた。
「お前犬かきしかできないだろ」
『失礼な、背泳ぎのアウナスと呼ばれた男ぞ』
その夏真っ盛りなナスのとなりには、これまたビキニのパンダ。
付け睫して、口紅を激しく塗りたくり、無表情で立っている。キモい。
「黒龍、お前、愉快な6人の仲間達はどうした?」
『あいつらリヴァイアサンとこ』
「魔界?」
『そうやで、魔界の洞窟でリヴァイアサンと麻雀大会しとる。』
頭の中で大騒ぎしている巨体が脳裏に浮かぶ。
首いっぱいあるけど麻雀できんのか?いや、バラバラになってやってんのか?
それよりも、黒龍の様子がおかしい。
「ふうん、なんかテンション低いな」
いつもならウザいぐらい関西弁でしゃべりまくってんのに。
『さっきな、愛するパピィと会ってきてん』
闇の竜の父親と言えば、マヤ・ダーカー、通称サタンだ。
今思えば黒龍とダーカーという組み合わせも妙なものだ。
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