はじまり

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桜が散り始めた四月の後半。 就学、就職、出会い、別れ。 何かしらの新しい時代のはじまりに人々は躍動していた。 もちろん、例外もいるが。 「フアァァ~」 一人の少年は明らかに眠気が酷いと訴えるように欠伸していた。 少年はまだ卸して間もない深い青を基調とした学校指定のブレザーとズボン、学校指定のカバンを肩にかけて歩いていた。 手入れのされていない金髪、欠伸で涙が滲む銀色の瞳を携え、少年は歩いていた。 目つきは鋭い方だが、欠伸している様を見るとその眼光も意味のないものだった。 「オッ、ハヨー!!!」 そんな眠そうにしている金髪の少年の背後から肩を叩く者が現れた。 「ンー、おはよう~カイリ」 眠そうな目つきで少年は後ろにいる少女、カイリに挨拶した。 「相変わらず眠そうだね」 水色のショートカットの髪と人懐っこい笑顔を向けてカイリは言った。 二人はそのまま、一緒に歩いていた。 少年の身長はカイリより頭一つある方だが、足取りが遅いので足並みに差はなかった。 「おはよう、二人とも」 そんな二人に声をかける者が現れた。 「リク!」 カイリは声をかけてきた少年、リクに詰め寄った。 「おっす、リク」 金髪の少年はリクに挨拶した。 「ハハ、まだ春休みの癖が抜けないのか、ソラ?」 リクは笑いながら金髪の少年、ソラに聞いた。 「いや、春休みとか関係なしに眠い...」 目を擦りながらソラは答えた。 「オイオイ...」 リクは少々呆れた表情を向けた。 黒髪の少年の名はリクこと黒澤(くろさわ) (りく)。 三人の中で一番の良識人。 少女の名はカイリこと光宮(こうみや) 海里(かいり)。 三人のムードメーカー的存在。 そして金髪の少年の名はソラこと天龍(あまたつ) (そら)。 三人の中で一番の変わり者。 この三人はいつも一緒にいる。 理由は単純。 三人は仲良し三人組だから。
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