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“オオーーーッ!”
歓声が湧いた。
「「ッ!?」」
ソラと飛鳥はたじろいだ。
周りを見ると、ギャラリーが集まって盛り上がっていた。
「すげー、二人ともすげー!」
「うん、手傷を負わずに勝負を決めるなんて」
「ええと...とりあえず、歩ける?」
ソラはとりあえず聞いた。
「ああ、何とかな」
飛鳥は少々おぼつかないが自力で歩き、フィールドを出た。
ソラはその少し後ろから着いてくる様に歩いた。
丁度飛鳥が進む先に、リクとカイリがいた。
ギャラリーは遠巻きにソラ達を見ていた。
「お疲れ様」
「おつかれ」
リクとカイリの労いの言葉にソラは軽くニヤけた。
飛鳥は壁に寄りかかり、腰を降ろしていた。
ソラもまた、疲労からか壁に寄りかった。
リクとカイリはソラが壁に寄りかかるのを見届けた後に次の試合を観戦した。
ソラの隣に飛鳥が腰を降ろした。
「そういえば天龍、保健室行かねーのか?」
「?!」
「さっきからポケットに入れて隠してるけど、俺の雷を纏った槍を殴って無事な訳ねーだろ。見せろ!」
「わ、ちょ、止めろ!」
左腕を掴んでポケットから手を出そうとしてくる飛鳥からソラは必死に耐えようとしたが、左手はあえなくポケットから露わになった。
「え?」
「.....」
困惑する飛鳥と対照にソラは面倒そうな顔だった。
「...無傷」
ソラの左手は傷一つ負っていなかった。
「もういいだろ!」
ソラは腕を掴む飛鳥の手を振り払い、その場を離れて行った。
ーーー『どういうことだ?確かにあいつは槍を殴った。しかも、刃の部分を。
電気を帯びやすい金属部分を殴ったら普通、負傷は免れない。しかも刃を殴ったなら切れていてもおかしくない.....いや、あいつの実力なら刃の側面を叩いたから切れていないのは合点がいく。
じゃあ....電気の方はどうなる?触れたなら電熱で火傷した可能性が高い。だが火傷はない?
風の魔法を使って風圧で槍を弾いた?
いや、確かに槍を殴られた手応えはあった。それじゃ、あいつは一体、何をしたんだ?』ーーー
飛鳥は冷静に考えた、
だが、結局その疑問が解けることはなかった。
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