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その後、試合は順調に消化され無事実技の授業は終わった。
着替えを終えた三人(ソラ、リク、カイリ)は昼食を摂る場所を打ち合わせていた。
「じゃあ、屋上で」
「了解」
リクとカイリは屋上に向かい、ソラは購買部で昼食を買いに向かう所(リクとカイリはお弁当)だった。
「あ、飛鳥!」
ソラは教室を出る所だった飛鳥と会ったのは。
「呼び捨てかよ...」
飛鳥は少々怪訝そうな表情をソラに向けた。
「昼飯の場所探し?」
「あ、ああ...今日は、一人で食おうかと思ってな」
飛鳥は手に持つ弁当の包みを見せながら答えた。
ーーー『そういやカイリが言ってたな。飛鳥って女子からよく昼飯誘われるって...』ーーー
以前カイリから軽く聞いた話の内容をソラは思い出していた。
飛鳥は一言で言えば男勝りである。
早い話、そこいらの男子よりも女子にモテる。
だからクラス問わずに飛鳥と一緒に昼食をとりたがる女子が跡を絶たないというのが、カイリから聞いた話だ。
「なあ、一緒に飯食わねえ?」
「な、何だよいきなり」
ソラの突然の誘いに飛鳥は戸惑った。
ーーー『こいつ、仮にもさっきまで自分の秘密を探ろうとした相手を誘うって、どういう神経してんだ?』ーーー
「一体、なんのつもりだ?」
そんな思考を張り巡らせながら飛鳥は探りを入れた。
しかし、ソラの解答はそんな考えをあっさり蹴散らした。
「いや、なんとなく」
あっけらかんと笑顔で答えるソラに、飛鳥はずっこけそうになった。
「まあ、理由をつけるならあれだな。お前、面白そうだからさ」
「人を変人みたいな言うな!」
ソラの言葉に飛鳥は文句を言った。
「ダメか?」
「う、いいけど...」
ソラの悲しそうな表情に罪悪感を感じ、飛鳥は渋々了承した。
「本当か!じゃあさ、リクとカイリがもう屋上に向かってるから先に行ってくれな!」
「あ、ああ...」
「それじゃオレはパン買ってくるから」
ソラはそのまま購買部に向かった。
困惑する飛鳥とは正反対に、ソラは笑顔で嬉しそうな様子だった。
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