兄の場合

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…とりあえず現状の整理をしようか。 俺の名前は、神谷 蓮(かみや れん)。 家族構成は四人で双子の弟とは学校でも外見は凄く似てると評判で今年中学卒業して春休みだから図書館に行ってたらなんか勇者召喚みたいな魔法陣に載って。 気が付いたら執務室みたいなところに居た。 ……………あれ?俺死んだ? いやいやいや、召喚しておいて殺す筈がないし、巻き込まれた訳でもないし。 もう一度周りを確認してみようか。 白い執務机 白い本棚と大量の本 白い光の玉とでも呼べる球体 「あんた神様?」 迷わず球体を握って声をかける。 というかなんだこれ。プニプニしてフカフカでフワフワで…なんかもう気持ちよすぎる。ずっと抱きしめてたくなる触り心地… 「そうだけどよく分かったね?」 意識が少しトリップしてると、頭の中に直接響くように中性的な声が聞こえた。 「なんとなく」 俺は球体をニギニギしながら答える。だってこれ離したくないんだもん。 「ふむ、やはり選ばれた者としての素質は高いということか」 なんか納得してる球体に、俺はあることを思い出す。 「そういえば、魔法陣みたいなの踏んで気が付いたら此処に居たんだけど。此処ってあれ?勇者召喚に巻き込まれた奴が死んじゃったから神様に頼んで勇者が召喚された世界に転生させてもらえるようなところ?」 「ぶっちゃけるとそうだね」 ぅおい。やっぱり俺死んでるじゃねぇか。何で召喚されたのに殺されてんだよ。 「順を追って説明しよう。 まず、さっき君が言った巻き込まれ君についての話だけど、それは基本的にあり得ない。勇者召喚は一人に対してのみ発動するからね。なのに二人以上召喚されたということは、召喚に失敗したか正規の手順を踏まずに召喚したことになる。 まあ今回の場合は違うからこの話は置いといて。 君は確かに勇者召喚されたんだ。 それで本来なら、既に君の住んでた世界とは別の世界で勇者として生きていくはずだった」
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