兄の場合

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ふむふむ、それで? 「だけどこの時、何故か全く同時に別の場所でも勇者が召喚された」 …は? いや、それじゃあ別の世界が同時に勇者を召喚したってことか? 「違うよ。起動した召喚魔法は一つ。その一つの魔法陣が何故か二人召喚したんだ」 「ちょっと待て。矛盾しすぎだろ。さっき勇者召喚は一人しか召喚しないって説明しただろうが」 堪えきれずに声を出して問いかける。今更だけど頭の中読まれてたな。 「それがね、魔法陣はその二人を一人と見なして召喚したみたいなんだよ」 ……嫌な予感がする… 「なあ、まさかとは思うけど、そのもう一人の名前って…」 「神谷 悠(かみや ゆう)。君の弟君だね」 oh…やはり奴か… 神谷 悠。俺の双子の弟。 よく周りから「よく似てるね~、外見は」と言われる位、俺と性格が違う。 まあたまにお互いのフリをして他人を騙したりして遊んでたけど。 まあそんな事は今はどうでもよくて。 問題は… 「悠はどうなったんだ?」 これの返答次第じゃこのまま握り潰しくれるわ。 「まあまあ、落ち着いて。彼はちゃんと勇者として向こうに召喚されたから大丈夫だよ」 「ならばよし」 これで懸念事項は無くなった。 …いや、まだあったな。 「それで、結局なんで同時に召喚されて、俺は死んで悠は普通に召喚されたんだ?」 「君達が双子だったから」 …うん、もう反応返すのやめよう。 「それで、元々二つの身体を一つとして見なしてしまった今回の召喚なんだけど、その二つの身体を融合させたみたいだね。しかもいい点の部分を集中的に」 優性遺伝子だけを兼ね備えた蛇さんのお兄さんかよ。 「だけど流石に魂は融合出来なかったみたいでね、君は弾き出されたんだ。で、このままだと輪廻にも入れないから僕が此処に呼んだってわけ」
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