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「こんにちはー!」
私、金原美胡は毎週日曜日に街のはずれにある、このアンティークっぽい時計屋【cheeeery時計屋】の扉を開く。
「……また君ですか。暇なんですね。」
店名【cheeeery】の【e】が多いのは、ご先祖様が決めたことなので、今の店主も意味はよく分からないらしい。
そして、その店主とは、たった今私に毒舌を吐いたこの人だ。
「失礼ですね、佐々倉さん。一応お客様ですけど?」
「あぁ、それは失礼しました。毎週やって来るものですから、仕事が無いのかと。」
この人とは、出会ってから1年以上経っているのだか、この皮肉めいたセリフには、まだまだ慣れない。
てゆーか、慣れたくない。
「ちゃんと仕事もしてますぅ!けど、時計は私の癒しなんですぅ!」
私の仕事は、時計デザイナーだ。
大好きな時計を、自分の好きなようにデザインするのは、楽しくて仕方ない。
「そうですか。どうでもいいですけどね。」
あー、はいはい。
そうでしょうね。
この人、佐々倉月斗店主は私に毒舌ばかり吐く。
最初は、すっごくいい時計屋を見つけたと思ったのに、店主がひねくれているので、正直困っている。
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