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「そうだ。新しい時計が入ったんですけど、見ますか?」
佐々倉さんが、くるりとこちらを振りかえって、私に聞いてきた。
【新しい時計】
その言葉で、さっき吐かれた毒舌も、ころりと忘れてしまう。
「見ます!!是非、見たいです!!」
「そう言うと思いました。」
佐々倉さんは微笑みながら、「こちらへどうぞ。」と、私を店の奥に案内してくれた。
私は、時計が大好きだ。
時計は昔から、心を癒してくれて来た。
落ち込んだ時も、悲しい時も、いつでも。
だから、私にとって時計はかけがえのないモノなのだ。
「これです。」
佐々倉さんが、白くて上品そうな箱を持ってきた。
その中にあるのが、私の大好きな時計だと思うとワクワクしてくる。
「佐々倉さん、早く早く!!」
急かす私に、佐々倉さんは苦笑いをした。
「全く…時計のことになるとキャラが変わりますね。」
佐々倉さんは、その後にニヤリと笑い、
「けど、そんな貴方も可愛いですね。」
なんて、言ってきた。
「か、からかわないで下さい!!」
私が、ほんのり顔を赤くして叫ぶと、
「ま、冗談ですけどね。」
と、肩を竦めた。
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