53人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
ホンット!ムカつくという言葉しか出てこない!!
しかし私は、立派な大人なので、それを態度には出さず、笑顔のまま時計を催促した。
「はいはい。少しぐらい待って下さい。」
佐々倉さんは、白い手袋を着けながら、溜息をつく。
「…溜息つくと、幸せ逃げちゃいますよ。」
ぶっちゃけ、こういう迷信じみたことは、なんとなく信じてみたくなる。
ホントになんとなくだか。
そんな私の忠告に、佐々倉さんは、
「そうですね…じゃあ、その時は“美胡さん”に幸せにしてもらうことにします。」
「はっ?!」
猫のような気まぐれの佐々倉さんは、たまに不可解な事を口にする。
今だって、私に幸せにしてもらうなんて、思ってもないことを言っている。
「てゆーか、名前…」
少し気になったことを呟くと、彼は、
「これからは、そうやって呼ぶようにします。綺麗な名前ですよね、“美胡”」
「っ…!!」
友達とかにそう言われると「ありがとう」で済ませれるけど、なぜだか佐々倉さんに言われると、無性にドキドキしてしまう。
この正体は、何なんだろうか?
私が1人でモヤモヤしていると、佐々倉さんは、知らないうちに時計の箱を開けてしまったようだ。
「あぁ!!開けるとこ、見たかったです!!」
「……そんなん見てどうするんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!