第二章

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「あ、電車が来たみたいなのです」 少し物思いにふけっていたら、いつの間にやら電車の到着時刻になっていたらしい。 他の乗客は殆どが逆方向らしく、これ幸いとばかりに急いで乗り込んだ。勿論注目の視線から逃れる為である。 まばらに空いた席を見つけ腰掛ける。と同時にドア付近で掠れた声が聞こえた。 「ハア・・・ ハア・・・ ギリギリで間に合った・・・」 「だから電車の時刻は調べとくように言ったじゃないですか」 その言葉を聞くに、どうやら走ってきたらしい。上着の胸ポケットから神姫が覗いている。 赤い手と桃色の髪を見るにアーク型であろうか。 頭の上で何故か髪を弄ってくるリルの邪魔をしつつ目を瞑ると、 「隣、宜しいですか?」 と聞こえた。
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