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* * *
「ひゃはははは!!こんな族はよ潰そうぜー!」
「月花がNo.1だ!」
倉庫の入り口で、30人ほどの集団が鉄パイプや金属バットを担いで騒いでいた。
さらには、百鬼夜行の名前とはまったく似ても似つかない族の名前を呼ぶ始末。
その場にいる百鬼夜行のメンバーの誰もがそんな集団の扱いに困り果てていた。
「おい!幹部の方達はまだか!?」
「からみづれー!!困るよあいつら!」
「今坂下さんが呼びに行ってくれてます!」
「坂下…!はよ来てくれ…」
「注目―!!」
月花のメンバー達とのいつ終わるかわからないからみにいよいよ精神が限界に近づいてきた頃、頭上から機械を通したような声が聞こえてきた。
その声に皆は一斉に上を見上げた。
見上げた先には、坂下がメガホンを持って立っていた。
それが坂下だとわかったとたん、下の階にいる者たちが、よくやった坂下!
タイミングいいな坂下!
などと声を上げた。
坂下はそれに苦笑いを浮かべると、またメガホン越しに用件を伝えるべく息を吸った。
「ここからは、幹部と総長が相手するとのことだ!他の奴らは手ェ出すな!」
その声が途切れたと同時に上の階から誰かが入り口めがけて落ちてきた。
いや、降ってきたろいうほうが正しいだろうか。
正体が何なのか、誰もその目で見ることはできなかった。
なぜなら、なにかを認識する前にそのなにかは地に足をつけていたからである。
ドスッと重い音が倉庫内に響き渡り、それにより砂が辺り一面に舞う。
その砂から自身の目を守るために、近くにいたメンバーは腕で自分の顔を覆った。
中には咳き込んでしまう者も少なからずいたが、それもすぐに収まった。
そして、ようやくあたりがクリアになってきた時、派手な登場をしたのが一体誰だったのか、理解することができた。
「あー、砂が目に入ったー!掃除しないとね。」
その場の全員の目に留まったのは、床が沈んでいる中心に尻餅をついて左腕をぐるぐると回している織夜の姿。
「おっ」
『織夜さん!?』
「よっ!久しぶりー!」
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