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織夜の登場に驚きを隠せない者たちの声が重なった。
当の本人である織夜はその声に応えるように左腕の関節をゴキンと鳴らしてはめると、すかさず立ち上がり月花がいるほうへ体を向けた。
「いやーごめんごめん。関節はずれちゃってさー。で、なに?あんたらが俺の相手してくれんの。」
ちょっとした笑えない冗談を交えながらも、確実に目の前の敵を挑発すると、相手側はそれにすんなりと乗ってきた。
「…あ”?おい、ガキ。あんまナメてっとぶち殺すぞ。引っ込んどけやコラ。」
「ハッ!ハハハ!!!…誰に言ってんの?」
「…っ!」
空気が、変わった。
いままでふざけているような様子でヘラヘラとしていた織夜が、狂ったように笑い、そして地を這うような低い声で相手にささやいた。
そんな織夜の姿を見た、幹部たちはニヤリと笑みを浮かべながら、その後ろに連なった。
その中で、仁があちゃー!と声を上げた。
「あちゃー!怒らしちゃったね、織夜さんを。」
「夜叉の復活だよ。よおく見ておきな。」
後ろから聞こえる声なんてもう織夜の耳には届いていない。
織夜はクツクツと笑って、月花の総長を見やった。
そして、目を細めて小さい声で呟いた。
「さあ、百鬼夜行の始まりだ。」
『百鬼夜行』五代目総長
高里織夜(たかざとおりや)
肩書き『歴代最強』
通り名:夜叉
「や、やっちまえー!」
恐怖か、はたまた焦りか月花の総長は多少の戸惑いをみせながら大声で言い放った。
それが合図となり、月花が幹部たちめがけて走り出した。
30人ほどの人間の顔を見ると、幹部たちはクスリと笑ってその場から動くことなく殴りかかってくるのをじっと待った。
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