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結果は、月花の惨敗と言う形で終わりを告げた。
幹部たちの圧倒的な強さに加え、その背中に翼が生えたような軽い身のこなしは月花のメンバーを震え上がらせた。
そしてなにより、惨敗の結果に導いたのは総長である織夜の強さももちろん反映していた。
いや、織夜の強さこそが惨敗に導いたのだ。
喧嘩をしている織夜のその姿は、まさに夜叉。
百鬼夜行の総長にはふさわしいその恐るべき強さに、幹部達でさえぶるり、と体を震わせた。
織夜は、相変わらずクツクツと声を上げて笑っている。
それを見た幹部たちは、はあ、と深いため息をついた。
「あいっかわらず、関節ゆるいなー。」
「あちゃー!やっぱり強いなー織夜さん!」
「ばっ…、化け物…!!」
最後の一人となってしまった男は壁に背をぶつけながら織夜に向かって叫んだ。
それにより、幹部のひとりである翔がその男に殴りかかった。
だが、それを当の本人である織夜が片腕で制した。
翔の拳は、織夜の手に当たる前にスピードを落としてポスンと柔らかくあたった。
止められた翔は多少不服そうな顔をしてその拳を収めた。
それを見届けた織夜は笑うのをやめずに話し出した。
「ハハハ…!そうだよ、俺は化け物だ…!ハハハ!」
「けど、そのバケモンに自分らは手ェだしたんやろ?」
「百鬼夜行を前にしてひざまずいてもらおうか。」
「…ひっ!」
傷だらけのメンバーは織夜達のその言葉を聞いて小さく悲鳴を上げて、倉庫から逃げていった。
「あーあ。もっと楽しませてよ。ねえねえ。ハハハ!!」
この日、日本各国に点在する族たちに知れ渡った。
化け物の巣窟である全国No.1の百鬼夜行にあの夜叉が帰ってきた、と。
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