王道ってなんぞや

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織夜の目の前には、すべてが規格外なその建物がそびえたっていた。 普通であればとてつもなく綺麗なお城を連想するだろうが、残念なことに編入する学校は山奥にあるせいかどちらかというと、幽霊がでる廃墟を連想させた。 時々カラスが空中を飛んでいて、これが夕方だったらちゃんとしたお化け屋敷だなー、と織夜は考えていた。 しばらくぼーっとなにをしているでもなくただ立ち続けていた織夜は、正面から聞こえてきた声におもむろにビクリと肩を震わせた。 「まったく…なんで私がこんなことを…。せっかくの茜との時間が…。」 こっちにくるまでぼそぼそと何かを話している男は、織夜を見つけると驚いた表情で織夜に向かっていった。 え、なにこの人。 歩き方めっちゃ内股なんだけど。 笑いたい衝動をぐっとこらえて織夜はいたって普通の、平静を装った。 近づいてきたその男は、とんでもない内股からは想像できないほどの綺麗な顔立ちをしており、俗に言うイケメンという部類に入っていた。
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