1.シンデレラ、王子様と出会う

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私にはふたつ年上のいとこがいる。 彼女の名前は岩本すみれちゃん。 私が憧れる私立光丘学園に通っている高校一年生。 私は地元の公立中学に通う中学二年生。 名前は水森(みずもり)莉世(りせ)。 この春で三年生になり、いわゆる世間でいうところの受験生になるのだけれど、志望校は今のところ近くの公立高校を二つ考えている。 この場合、考えているっていうのは、あくまでママと先生が考えていることであって、そこに私の意志なんかは、ミジンコほども入っていない。 私は光丘学園に行きたいって言ってるのに。 あの制服を着て、あの子お嬢様なのかな? なんて思われながら颯爽と駅を歩くのが夢だって言ってんのに。 ママって頭が固い。違った、財布の紐が固い。 私立高校なんてお金がかかるから、絶対ダメなんだって。 理由は簡単。うちにはパパがいないから。 ママとパパは私が小学校二年生のときに離婚した。 それから、私はママとふたりで、それまで家族で住んでいたマンションから、古いアパートに引っ越し、今でもそこで生活をしている。 古いアパートは、部屋は畳で古いし、階段の手すりも錆びているし、隣に住んでいるのは、一人暮らしのおじいさんだしで、あまり住み心地が良いとはいえない。 でもまあ、アパートの隣は昔ながらの民家が並んでいたりして、それはそれで、下町のほっこり人情みたいな空気が感じられて、それは悪くはなかった。 ただ、私が憧れる光丘学園の雰囲気とは違いすぎるというだけで。
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