1.シンデレラ、王子様と出会う

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私も買いたいけれど、お小遣いがない。 はあ。高校生になったらバイトしよう。 光丘学園はアルバイト禁止だけれど、私が志望している公立高校は、そんなに校則はきつくないから、きっと大丈夫なはずだ。 「あっ、これ」 レジのお兄さんが少し大きな声を出したから、そっちに視線をやった。 さっきまでいた青陵学園の彼はもういない。 お兄さんは何やらプラスチックのカードを持ったまま、困り顔。 「どうしたんですか?」 私は興味津々で近づいた。 もしかしてさっきの彼の忘れ物かなーと期待して。 私の予感(期待)はバッチリ当たって、レジのお兄さんが「さっきのお客さんのものだと思うんですけど……」と私にカードをチラッと見せてくれた。 ウソ、青陵学園の生徒手帳ってカードなの? カードには彼の顔写真とフルネームがバッチリ載っている。 私は色めきたって、「私っ、私が追いかけて届けます!」と立候補した。 「あ、えーっと……。君は?」 「ハイッ。私の名前は水森利世! さっきの彼とはさっきしゃべったんで、大丈夫です!」 アルバイトの店員らしいお兄さんは、一瞬私にカードを預けることを躊躇した。
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