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「すみれちゃん。私、光丘学園の制服着てみたいの」
そう言って週末にアポなしで家まで突撃し、無理なお願いを押しつける私を、すみれちゃんは嫌な顔ひとつせずに、自分の部屋に上げてくれる。できたいとこだ。
子供の頃は一緒に遊んだりもしたけれど、お互い中学に上がってからはすっかり疎遠になっていたというのに。
小さい頃はおもちゃ部屋だったすみれちゃんの部屋は、今ではすっかり女の子らしい可愛い部屋になっていた。
私の部屋は和室だから、フローリングなだけで羨ましい。
「リセちゃん、久しぶりだね。大きくなったね」
小さい頃は頭ひとつ分違った私たちの身長は、今はほぼ同じになっていた。すみれちゃんは背が小さい方だったんだと、今になって私は知った。
「リセちゃん光丘学園を受験するの?」
「違うよ。私はしたいって言ってるのに、ママがダメだって言うの。すみれちゃんのとこはいいなあ、お金持ちで」
すみれちゃんのお母さんとうちのママは姉妹だ。それなのにすみれちゃんは光丘で良くて、うちはダメだなんて、世の中ってなんて不公平だ。
すみれちゃんは困ったように頭をふって、謙遜をした。
「うちはお金持ちじゃないよ。普通の子だってたくさん光丘に通ってるんだよ?」
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