1.シンデレラ、王子様と出会う

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「でしょう!? ちょっとすみれちゃん、それうちのママの前でも言ってやって!」  すみれちゃんが言ったところでどうなるものでもないって分かってるのに、一縷の望みにかけて言ってみる。  すみれちゃんがなんと言おうが、私立学園っていうだけで、お金がかかることは中学生の私にだってわかる。どこかから、お金、降ってこないかな。  すみれちゃんがクローゼットを開け、光丘学園の制服を取り出して渡してくれた。 この辺りの高校では他にはない、上品な薄紫色のワンピースとジャケット。私はすみれちゃんがこの制服を着ている姿を見たことはないけれど、きっと似合うんだろうなと思った。  私は制服を受け取ると、その場で着ていた服を脱いで、光丘学園の制服に着替えた。  早く袖を通してみたくてたまらなかったからなんだけど、すみれちゃんは私の着替えを見て、慌ててくるりと背を向けた。女の子同士なのに。  お嬢様は恥ずかしがるものなんだろうか。私は陸上部に入ってるから、部室ではみんな平気で人前で着替えるんだけど。あ、もちろん女子更衣室だから、女子限定で。 「ねえ、すみれちゃん。似合う? 私、高校生に見える?」
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