551人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
「チカちん、待たせた!」
すみれちゃんの家からバスに乗って駅前まで出ると、先に来ていた親友のチカちんがバス停に立っていた。
彼女はチェックのプリーツスカートが可愛い別の高校の制服を着ている。
だってどちらかが中学のセーラー服だったり、私服だったりしたら雰囲気出ないよね?
突然のお願いを難なく叶えてくれるなんて、さすが親友って感じ。
「もー、お姉ちゃんにバレたら絶対怒られるから、さっさと撮ってさっさと帰るよ!」
チカちんはお姉ちゃんの制服を内緒で着てきたらしい。
しかもサイズが合っていないらしく、ブレザーの肩はずり落ち、裾からは指先しか出ていない。
「チカちん萌え袖可愛いよ!」
私がからかうと、チカちんに背中をバシッと叩かれた。
「ねえチカちん、私の制服、似合う?」
「似合う、似合う。もう百回言った」
「そっか~。似合うかあ。ねえ、私お嬢様に見えるかなあ?」
「いや、普通のリセ」
「もー、チカちん! ノリ悪い!」
いつも通りきゃっきゃとはしゃぎながら、駅前のゲーセンに入る。
四月とはいえ、まだ春休みだからか、制服を着ているのは私たちくらいだった。
最初のコメントを投稿しよう!