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原型が分からないくらいパッチリ目のお姫様みたいに加工されたプリクラを何ポーズも撮った。
「ありがとうチカちん! これLINEのアイコンに使っていい?」
「え、やだよ。お姉ちゃんに見られるじゃん」
「大丈夫。チカちんは切り取るから!」
「ひどーい! じゃあ訊くな!」
「次はどこに行く?」と言う私に、「だからお姉ちゃんにバレたら怒られるんだってば。私は帰る!」とチカちんは冷たかった。
だけど私はまだまだ光丘学園の制服を脱ぎたくない。
私は一人で街をブラつくことにした。
チカちんに手を振って別れて、私は足取りも軽く駅前通りを歩いていた。
道行く人がチラチラと私を見ている気がする。
あの子、光丘学園のお嬢様かなって。
通りすがりに横にあるショップのウインドウを見ると、黒髪のボブカットの女の子が、憧れの光丘学園の制服を着て嬉しそうな表情で映っている。
私はそれを見て前髪をチョイチョイと直すと、とびきりの笑顔で微笑んでみた
うん、イケてる。私は立派なお嬢様だ。
駅ビルを通り過ぎると、そこは雑貨屋さんや可愛いカフェが並ぶ、女子高生に人気の通りになる。
中学のセーラー服というだけで気後れして、今までそこに制服で入ったことはなかった。
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