551人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
もちろん部活のジャージ姿なんて、論外だ。
ハッキリ言って中学のジャージはダサすぎる。
あのカフェに入りたい。
テラス席で通りを眺めながらいちごパフェ食べたい。
でも入ったこともないお店にひとりで入る勇気は、さすがの私にも出なかった。
外の通りから羨ましげにしばらくそのカフェを眺めていたけれど、中のお客さんから不審に思われそうなので、後ろ髪引かれる思いで私はその場を離れた。
ひとりで行ける場所なんて結局は限られていて、私は駅ビルのCDショップにいた。
好きなバンドのアルバムが発売されていたから、試聴するのが目的だ。
本当は買いたいけれど、私のお小遣いじゃそんな余裕はない。
しかもアパートに引っ越してからは、wifi繋がってないし第一スマホ持ってないしで、そうそう公式の動画にもアクセスできない。
ショップの視聴コーナーには先客がいた。
後ろ姿だけれど制服を着ている。
青緑のブレザーは青陵学園のものだ。
光丘学園がお嬢様学園ならば、お隣の青陵学園はお坊ちゃま学園の代名詞だ。
たしか学費がものすごく高いって噂。
私の中学からは毎年、ひとり進学するかしないかってくらい。
だから目の前に立ってるこの人は正真正銘のお坊ちゃまなんだなって思った。
最初のコメントを投稿しよう!