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お坊ちゃまの隣には大学生くらいのお兄さんがヘッドフォンを耳に当てている。
うむむ。二つしかヘッドフォンないんだから、どっちか代わってほしい。
そんな思いで少し離れた場所で、順番待ちをした。
先に動いたのは大学生っぽいお兄さんの方だった。
私はいそいそと空いたヘッドフォンを手に取る。
青陵学園の彼はまだその場にいたから、必然的に彼の隣に並ぶ形になって、横に立った私は何気なく隣の彼を見上げた。
身長が高い。
高校生なんだから少なくとも私よりは年上だろうけど、いつもつるんでるクラスの男子よりもずっと高い。
ふんわりした髪の毛が茶色いとことか、制服の袖からチラ見えする腕時計とか、やっぱり中学生とは違うんだなあってドキドキした。
私が遠慮なくジロジロ見ていたせいで、その彼と目が合った。
少しタレ目がちな瞳が不思議そうに私を見下ろしている。
あー、なんか優しそうだし、さすが青陵学園、育ち良さそう。
鼻も高いし、イケメンだなあ。
私は思わずにへらっと笑った。
目の保養だ、ラッキーみたいな感じで。
彼の方も釣られて少し笑顔を返してくれた。
こういうところもクラスの中学生男子と違う。まるで童話の中の王子様みたいなスマイルだと思った。
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